1キャラにつき1夢主
松田・萩原夢は同一世界軸の生存ifです

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pass:DCdreAm
 蝶野瞬。この人を好きだと思う。

 松田の確信に反して事を起こさない、諦めすらも感じる誠実さにヤキモキしていたのは他でもない萩原である。

 かつて自身の姉に一目惚れしたとアタックしては玉砕されていた幼馴染と同一人物とは思えないそれに些かの心配と、なるほど確かに幼少期の憧憬を混同した恋慕の勘違い(松田本人としては千速に対する感情も正しく恋慕だったのだろうけれど)と、時を経て実感を持った恋慕とでは抱く情も臆病を孕む行動への納得とが相俟って静観する他ない萩原の相談相手は専ら伊達であった。聞けば、伊達航と蝶野は幼い頃から交友があり、伊達としては気心の知れた大切な兄のような存在だと言う。小学校の卒業式や中学、高校の入学式から卒業式まで時間を割いて参列しているというのだから、恐らく蝶野側からも弟のような存在だと推測できる。

 しかし、そうともなれば伊達もまた複雑なのではないかと話を振れば、伊達はあっさりと「まあ彼氏がいたこともあったし、無理強いがなくてちーちゃんが納得してんなら本人間の問題じゃねえの?」という極めて冷静かつ大人な視点にぐうの音も出なかった。というかちーちゃんて。意図せず紡がれた愛らしい蝶野の渾名は、伊達の相貌や性格から出るとは想像し難く、関係性の偽りがないことの証明にも繋がった。漠然と、松田にバレれば面倒くさいことになりかねないという意識があるのも伺える。実際それは正しい判断であるが、どこまで隠し通せるか──もとい、誤魔化せるかという観点からは早めの白状を視野に入れるべきだとも萩原は思う。

 いや、待て。もっと重大なカミングアウトが混ざっていたような気がする。

「……彼氏が、いた?」
「ん? ああ。事情は知らねえけど、殴って別れたって」
「蝶野先輩が?」
「天秤に掛けたら至の方が大切だ、とかなんとか」

 俺も詳しくは知らねえよ。じゃあな。そう告げて仕事に戻る伊達の後ろ姿をぼんやりと見送った萩原は、幼馴染の前に更なる障壁が現れてしまったことに一人頭を抱えた。とはいえ萩原にできることなど何もない。願わくば、幼馴染の想いが報われてほしいけれど。

 松田の大胆な行動の裏で、萩原は新たな不安要素を積み上げていたのだった。